開催レポート

  1. 災害時外国人支援サポーター養成講座を開催しました!

災害時外国人支援サポーター養成講座を開催しました!

最終更新日:2019.05.30

島嶼県沖縄の地域防災力を高め、大規模災害発災時に財団が立ち上げる「多言語支援センター」と協力しながら避難所巡回を行い外国人の被災状況に関する情報収集やライフラインの多言語化及び発信などを担う「災害時外国人支援サポーター」を育成する「災害時外国人支援サポーター養成講座」を5月11日(土)から全6回にわたり実施し、37名が修了登録しました。

  • 【講義】災害時における「ストック情報」と「フロー情報」

    【講義】災害時外国人支援サポーターとして活動する際の心のケア

  • 【講義】「災害時外国人支援サポーターとして活動する際の心のケア」

    ワークショップに取り組む受講者

第1回の講座では財団職員が講師となり「災害時外国人支援の課題」と、災害時に溢れる「デマとどう向き合うか」のテーマについて講義や演習を行いました。「私達が日常生活の中でストック(蓄積)してきた防災に関する知識は、必ずしも外国人が同じように知識としてもっているとは限らないし、むしろ欠如している可能性が高い。そのためサポーターとして外国人に情報を発信する際に、情報を足したり引いたりして、災害時に外国人が自分から避難行動を取るようにサポートしないといけない」ということを受講者は学びました。

琉球病院の大鶴副院長と心理療法士の諸見先生による「災害時のこころのケア」や「PFA(サイコロジカル・ファーストエイド)」の講義や演習では、被災地の活動を通して、心療医でもこころを病むことがある」というこれまでの事例に触れ、災害時外国人支援サポーターとして「できないことを安易にできると回答したり、できないことに対してできないと表明する勇気も必要」であることを学び、自分自身が支援にあたる際、自身へのストレスや心のケアの大切さも学びました。また、大鶴先生自身が東日本大震災や熊本地震でのDPAT隊員として医療従事者の心のケアに何か月も携わってきた体験談が語られた他、参加者は講義を通して何よりも被災者に寄り添い「傾聴する」ことの大切さや、サポーターが支援活動をしていく中で必ず心の浮き沈みに直面することがあり、そのことに客観的に向き合うことの大切さを学びました

講座の中では「熊本地震での多言語活動報告」も行われ、当財団の職員が実際に熊本地震発災時に(一財)熊本市国際交流振興事業団の中に立ち上がった多言語支援センターで支援した内容や、そこから見えたサポーターに必要なこと、事前に知っておきたいことなどの報告が行われました。サポート内容の多さに驚く受講生もいました。また、災害時の被災者を”つなげる”ツールとして財団が管理する「災害時オンラインフォームの活用」についても学びました。「とても良いシステムなので是非活用したい!」という声がたくさん寄せられました。

やさしい日本語講座

大東文化大学講師の前田先生による「やさしい日本語」に関するセミナーでは、情報をシンプルにしたり、必要に応じて外国人の方々が、災害時特有の用語を理解できるよう、情報を足したり、引いたりしなければならないことを学びました。グループで「こう訳した方がいいのでは?」「余震という言葉は分かるか?」など沢山の意見をいい合い協力して”やさしい日本語“をつくっていました。前田先生から「外国人の方に何を一番伝えないといけないのか。難しい日本語を簡単に直訳するわけではなく、言いたいことを伝えなくてはいけない」ということを考え、多くのアイディアを出し合い、グループの回答を作っていました。「”やさしい日本語”を作るのは全然やさしくなかったが、災害時に大事なスキルになるので日頃から考えることや訳する練習をしていきたい」と習得に悩みながらも前向きな声をたくさんのサポーターから頂きました。

 

(一財)ダイバーシティ研究所代表理事の田村太郎氏による講座では、「災害時における外国人支援―これまでの災害時対応とこれからについてー」をテーマに災害時における外国人支援には「ストック情報」と「フロー情報」に着目することの必要性を学んだ他、日本全体で永住者資格を取得する外国人が増加している傾向から、地域住民とともに外国人が参画できる地域防災の環境づくりこそが、多文化共生のまちづくりを形成して行く上で必要であることも学びました。「安心して避難生活を送るための支援がしたい”という気持ちをもっているサポーターが大事」という田村氏の言葉にうなずく多くの受講生が見うけられました。

第5回の講座では前半、沖縄気象台の皆様を講師とし、自然災害に関する概説や、「注意報」「警報」「特別警報」など、どのタイミングでどのような情報が気象庁から発信されるかについて確認しました。引き続き行われたワークショップでは、グループに別れ大規模災害時に海岸にいるシチュエーションで、津波が発生した際に避難する手順を参加者で討論しながら取り組みました。地形によっては、3階の建物に避難しても津波の被害に遭う可能性があるなど、現在地の地形の状況を把握することや、津波が押し寄せてくる際は、少しでも海岸から離れて高い場所に避難することの重要性を学びました。セミナーの後半は、琉球大学医学部附属病院特命准教授の中島先生を講師に招き、「災害時でのトリアージの重要性」にご自身のこれまでの経験を織り交ぜながらご講義をいただきました。「緊急医療時」と「災害医療時」に行う内容の違いや「災害」という概念は必ずしも自然災害だけに限らないことなどを学びました。またサポーターとして活動する際には、災害時における情報のトリアージを行うことの重要性も併せて学ぶことができました。

最終回はこれまでの講座の復習も兼ねて避難所運営ゲーム(HUG)机上訓練を実施しました。避難者に見立てたカードを体育館やグラウンドにどのように状況に即して配置するか、グループのメンバーで話あいながら取り組みました。また避難者の対応と平行して様々なシナリオへの解決策を検討しました。例えば、「アルコールが含まれる除菌用シートを配ったところ、外国人避難者から「使えない」と苦情が入りました。どのように対応しますか」など、実際にこれまでの災害時の避難所で起きた事例などをシナリオとして、参加者に対応していただきました。情報の掲示や多言語化など2時間30分の演習でしたが、目まぐるしい情報への対応に座る間もなく、訓練が修了しました。参加者からは、「2時間30分の訓練でもとても疲れたのに、実際の災害時の対応を考えると・・・」や「訓練で付与されたシナリオが実際の現場でも起こりうる内容でとても有意義な訓練だった」などの感想が寄せられました。

参加された皆様、また講師としてご協力いただきました皆様に心から感謝申し上げます。

  • 【講義】気象庁沖縄気象台による津波・地震防災

  • 【講義】災害時におけるトリアージ -DMAT医療の現場から-

  • HUG訓練に取り組む参加者(1)

  • HUG訓練に取り組む参加者(2)

  • HUG訓練振り返りの様子

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